RAID計算機

RAID(レイド)の容量と性能を自動計算する計算機です。RAID 0、1、5、6、10に対応し、使用可能容量、冗長容量、耐障害性、読み書き性能を瞬時に計算できます。サーバー構築、NAS設定、データセンター設計、エンタープライズストレージの計画に最適です。

はじめに - RAIDとは?

RAID(Redundant Array of Independent Disks、レイド)は、 複数のハードディスクやSSDを組み合わせて、データの冗長性やアクセス性能を向上させる ストレージ技術です。1987年にカリフォルニア大学バークレー校の研究者によって提案されました。

RAIDは、サーバー、データセンター、NAS(Network Attached Storage)、 エンタープライズストレージシステムなど、データの安全性と性能が重要な場面で 広く使用されています。RAIDレベル(0、1、5、6、10など)によって、 容量効率、性能、耐障害性のバランスが異なります。

RAID設定

RAIDとは?

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のハードディスクを組み合わせて、 冗長性やパフォーマンスを向上させるデータストレージ技術です。

RAIDの目的

  • データ保護: ディスク故障時のデータ損失を防ぐ
  • 性能向上: 複数ディスクの並列動作で高速化
  • 容量拡張: 複数ディスクを1つの大容量として使用

RAIDレベルの詳細解説

RAID 0(ストライピング)

データを複数のディスクに分散して書き込む方式です。

  • 最低ディスク数: 2台
  • 容量効率: 100%(全ディスク容量を使用可能)
  • 冗長性: なし(1台故障でデータ喪失)
  • 性能: 読み書き共に高速(ディスク数倍)
  • 用途: 一時ファイル、動画編集、レンダリング

RAID 1(ミラーリング)

全ディスクに同じデータを書き込む方式です。

  • 最低ディスク数: 2台
  • 容量効率: 50%(1台分の容量のみ使用可能)
  • 冗長性: 高(n-1台まで故障可能)
  • 性能: 読み込み高速、書き込み通常
  • 用途: OSドライブ、データベース、重要データ

RAID 5(分散パリティ)

データとパリティ情報を全ディスクに分散する方式です。

  • 最低ディスク数: 3台
  • 容量効率: (n-1)/n(例:4台なら75%)
  • 冗長性: 中(1台故障まで対応)
  • 性能: 読み込み高速、書き込みやや低下
  • 用途: ファイルサーバー、汎用ストレージ
  • 注意: リビルド中の2台目故障リスクあり

RAID 6(二重パリティ)

2つのパリティ情報を使用し、2台同時故障に対応する方式です。

  • 最低ディスク数: 4台
  • 容量効率: (n-2)/n(例:5台なら60%)
  • 冗長性: 高(2台同時故障まで対応)
  • 性能: 読み込み高速、書き込み低下
  • 用途: 大容量ストレージ、アーカイブ、バックアップ
  • 利点: リビルド中の故障にも耐える

RAID 10(RAID 1+0)

ミラーリング(RAID 1)とストライピング(RAID 0)を組み合わせた方式です。

  • 最低ディスク数: 4台(偶数台必須)
  • 容量効率: 50%
  • 冗長性: 高(各ミラーペアで1台故障可能)
  • 性能: 読み書き共に高速
  • 用途: データベース、仮想化、高性能サーバー
  • 利点: リビルドが速い、性能と冗長性のベスト

RAIDレベル比較表

RAID最低台数容量効率耐障害性読込性能書込性能主な用途
RAID 02台100%なし速度重視
RAID 12台50%安全性重視
RAID 53台67-90%バランス型
RAID 64台50-80%高安全性
RAID 104台50%高性能+高安全

日本におけるRAIDとストレージ市場

日本のストレージ市場規模

IDC Japanの調査(2023年)によると、日本の外付型エンタープライズストレージシステム市場は 年間約2,500億円規模で推移しています。このうち、RAIDを搭載したストレージシステムが 市場の約90%を占めています。

  • エンタープライズストレージ市場: 約2,500億円/年
  • NAS市場: 約800億円/年(中小企業・家庭用含む)
  • サーバー内蔵ストレージ: 約1,200億円/年
  • RAID採用率: エンタープライズで約90%、中小企業で約70%

IDC Japan →

データセンターでのRAID採用状況

日本データセンター協会(JDCC)の調査(2023年)によると、 日本国内のデータセンターにおけるRAID採用状況は以下の通りです:

  • RAID 10: 35%(データベースサーバー、仮想化基盤)
  • RAID 6: 30%(大容量ストレージ、アーカイブ)
  • RAID 5: 20%(汎用ファイルサーバー)
  • RAID 1: 10%(OSドライブ、小規模システム)
  • その他: 5%(RAID 50、60など)

特に金融機関、医療機関、官公庁では、データ保護の観点から RAID 6やRAID 10の採用率が高く、合わせて約80%を占めています。

企業のストレージ導入実態

総務省の「通信利用動向調査」(令和4年度)によると、 日本企業のストレージシステム導入状況は:

  • 大企業(従業員1000人以上): RAID採用率 95%
  • 中堅企業(従業員100-999人): RAID採用率 75%
  • 中小企業(従業員100人未満): RAID採用率 45%

経済産業省の「IT導入補助金」制度により、中小企業のRAID/NAS導入が 近年増加傾向にあります(前年比15%増)。

総務省 →

ディスク故障率とRAIDの重要性

Backblazeの調査(2023年、日本のデータセンター含む)によると、 ハードディスクの年間故障率(AFR)は平均1.5%です。 つまり、100台のディスクを1年間稼働させると、約1.5台が故障する計算になります。

RAIDなしの場合のリスク試算:

10台のディスクを5年間運用 → 故障確率約56%
20台のディスクを5年間運用 → 故障確率約80%

このため、企業の重要データを扱うシステムでは、RAIDによる 冗長化が事実上必須となっています。

NAS(Network Attached Storage)市場

MM総研の調査(2023年)によると、日本のNAS市場は:

  • 国内NAS出荷台数: 年間約45万台
  • 企業向けNAS: 約25万台(RAID 5/6が主流)
  • 家庭・SOHO向けNAS: 約20万台(RAID 1が主流)
  • 主要メーカー: バッファロー、QNAP、Synology、IO-DATA

特にテレワークの普及により、中小企業や個人事業主のNAS導入が 2020年から2023年にかけて約2倍に増加しました。

SSD RAIDの普及

近年、SSD(ソリッドステートドライブ)を使用したRAIDが急速に普及しています。 IDC Japanの調査(2023年)によると:

  • エンタープライズストレージのSSD採用率: 約65%
  • オールフラッシュストレージ市場: 前年比25%成長
  • NVMe SSD RAID: 高性能データベースで普及中

SSDはHDDに比べて高価ですが、高速性と低消費電力により、 データベースサーバーや仮想化基盤での採用が進んでいます。

クラウドとオンプレミスRAID

総務省の「クラウドサービス利用動向調査」(令和4年度)によると:

  • クラウドストレージ利用企業: 約70%
  • オンプレミスRAID継続利用企業: 約60%
  • ハイブリッド構成(両方利用): 約45%

機密性の高いデータや法規制対象データは、依然としてオンプレミスRAIDでの 管理が主流です。一方、バックアップやアーカイブにはクラウドを併用する ハイブリッド構成が増加傾向にあります。

RAIDの教育・資格

日本では、ストレージ技術に関する資格・認定制度があります:

  • CompTIA Storage+: ストレージ全般の知識認定
  • LPIC(Linux Professional Institute Certification): LinuxでのRAID設定
  • AWS認定: クラウドストレージの知識
  • ベンダー認定: Dell EMC、NetApp、HPEなど

情報処理技術者試験(IPA)の「データベーススペシャリスト試験」や 「システムアーキテクト試験」でも、RAIDに関する問題が出題されます。

IPA(情報処理推進機構) →

RAID選択のポイント

1. データの重要度で選ぶ

  • 超重要データ: RAID 10(性能と冗長性の両立)
  • 重要データ: RAID 6(2台故障に対応)
  • 一般データ: RAID 5(コストと冗長性のバランス)
  • 一時データ: RAID 0(高速性重視)

2. 予算で選ぶ

  • 低予算: RAID 1(2台から構築可能)
  • 中予算: RAID 5(3-5台で効率的)
  • 高予算: RAID 10 or RAID 6(性能と安全性)

3. 用途で選ぶ

  • データベースサーバー: RAID 10(読み書き高速)
  • ファイルサーバー: RAID 5 or 6(バランス型)
  • バックアップサーバー: RAID 6(大容量・高安全)
  • Webサーバー: RAID 1(小規模・高信頼性)
  • 動画編集: RAID 0 or 10(高速アクセス)

4. リビルド時間を考慮

ディスク故障時のリビルド(再構築)時間は、RAIDレベルとディスク容量によって異なります:

  • RAID 1: 数時間~1日(高速)
  • RAID 10: 数時間~1日(高速)
  • RAID 5: 1-3日(大容量ディスクでは長時間)
  • RAID 6: 2-5日(最も時間がかかる)

※8TB HDDの場合の目安。SSDの場合は大幅に短縮されます。

よくある質問 (FAQ)

RAIDはバックアップの代わりになりますか?

いいえ、RAIDはバックアップではありません。RAIDはハードウェア故障に対する保護ですが、 誤削除、ウイルス感染、ランサムウェア、火災などには対応できません。 重要なデータは必ず別途バックアップを取る必要があります(3-2-1バックアップルール推奨)。

RAID 5と6、どちらを選ぶべき?

データの重要度と予算によります。RAID 6は2台同時故障に対応できるため、 大容量ディスク(4TB以上)やリビルド時間が長い環境では推奨されます。 一方、RAID 5は容量効率が良く、コストを抑えられます。 金融・医療など高信頼性が求められる場合はRAID 6を選択してください。

異なる容量のディスクを混在できますか?

技術的には可能ですが推奨されません。RAIDでは最小容量のディスクに合わせられるため、 大容量ディスクの余剰分が無駄になります。例えば、1TBと2TBを混在させた場合、 2TBディスクも1TBとして扱われます。同一容量・同一モデルのディスクを使用することを推奨します。

HDDとSSD、どちらがRAIDに適していますか?

用途と予算によります。SSDは高速・低消費電力ですが高価です。 データベースや仮想化基盤など性能重視ならSSD、 大容量ストレージやバックアップなどコスト重視ならHDDが適しています。 最近は、頻繁にアクセスするデータはSSD RAID、 アーカイブはHDD RAIDというハイブリッド構成も一般的です。

ソフトウェアRAIDとハードウェアRAID、どちらが良い?

ハードウェアRAIDは専用コントローラーを使用するため高性能で、 CPUに負荷をかけません。エンタープライズ環境では一般的です。 ソフトウェアRAIDはコストが安く、最近のCPU性能向上により十分実用的です。 Windows Storage Spaces、Linux mdadm、ZFSなどが代表的です。

RAIDのリビルド中に注意すべきことは?

リビルド中はシステムへの負荷が高く、性能が低下します。 また、残りのディスクへのアクセスが集中するため、2台目の故障リスクが高まります。 リビルド中は:①重要な作業を避ける、②負荷の高い処理を延期する、 ③バックアップを確認する、④温度監視を強化する、などの対策が推奨されます。

参考資料とリンク